大人と衝動制御障害とは!?【発達障がい 学習塾】ふぉるすりーるブログ 2020/03/08①
㉖大人と衝動制御障害とは!?
【衝動制御障害とは!?】
・自分、他人に危害を与えるような行為を行う衝動に抵抗できない、自己制御の障害
・特定の衝動に対する制御障害として診断されるもののほかに
・種々の精神疾患の一病像または一亜型としてみられることも多い
※一病像…ある病気を特徴づける症状などの諸性質を意味する語のこと
※ 一亜型…ある物ごとを区分したタイプのこ
・衝動制御障害という診断カテゴリーの位置づけは難しく、いまだ定まっていない
・衝動制御障害についての生物学的知見は限られてはいる
・衝動性を制御する脳領域として前頭前野眼窩部が知られている
・衝動性亢進をもたらす神経化学的要因としてセロトニン神経伝達の低下
※衝動性亢進…興奮、攻撃性、暴力など
【衝動】
・人の心や感覚をつきうごかし、反省や抑制なしに人を行動におもむかせる心の動き
・本能に準ずる原始的な脳機能
・通常は意志や理性といったより高次の脳機能によって制御されている
・制御しきれないほどの衝動や衝動の制御障害が起きると欲求がそのまま行動として現れる
・無計画で暴発的、短絡的な行動がみられる
・これを衝動行為という
・その行動特性、すなわち衝動行為があらわれる傾向のことを衝動性と呼ぶ
・衝動制御障害において対象となる衝動はさまざま
・自己制御が破綻することによって衝動行為としてあらわれる
・パーソナリティ障害をはじめとするさまざまな精神疾患において衝動の制御は障害されることがある
・自殺行動、自傷行為、暴力、攻撃性、反社会性行動などといった形で表出される
・双極性障害では躁状態に伴う気分の高揚や興奮によって衝動行為に至りやすくなる
・統合失調症では急性期にみられる幻覚妄想状態により衝動行為におよぶこともある
・注意欠如/多動性障害は通常小児期に発症する疾患であるが、不注意や多動を特徴とするほかに、自分の順番を待てない、他人の会話を邪魔する、質問が終わる前に出し抜けに答え始めるなどといった衝動制御の障害もみられる
・衝動制御の障害を主症状とする疾患群は、衝動制御障害の診断カテゴリーに位置づけられる
【現在のカテゴリー】
・破壊的行動障害が衝動制御障害と組み合わさって、「秩序破壊的、衝動制御・素行症群」という一つのカテゴリーとしてまとめられた
◎このカテゴリーには
・反抗挑発症(反抗挑戦性障害)
・間欠爆発症(間欠性爆発性障害)
・素行症(素行障害)
・反社会性パーソナリティ障害
・放火症
・窃盗症
・他の特定される秩序破壊的・衝動制御・素行症
・特定不能の秩序破壊的・衝動制御・素行症
・抜毛癖・抜毛症
・ギャンブル障害
【治療】
・衝動制御障害とは、その診断カテゴリーの輪郭さえいまだ不明瞭なもの
・治療法が確立しているとはいえない
・衝動行為そのものが個人と環境との相互作用の中でおこなわれる
・双方への働きかけが必要
・それぞれの疾患や症状、状況に応じた個々の対応を要する
◎間欠性爆発性障害、放火症、窃盗症といった衝動制御障害の治療
・患者が自身の問題に気づくことが大切
・自身の行動特性を変えることができるのは自分自身であることを理解
・疾患によってもたらされた自らの問題に正面から向き合ってはじめて治療ははじまる
・その際に湧き起こる自責や後悔の念が理解され、支持され、必要に応じた環境調整がおこなわれることが重要
・構築された治療関係のなかで薬物療法が効果をもたらす
・気分安定薬であるリチウムや非定型抗精神病薬であるクロザピンは、衝動性の治療に有効であるとされている