エコノミークラス症候群とは!? 2020/04/28① #発達障害 #学習塾 #塾 #近江八幡 #居場所
第76段 エコノミークラス症候群とは!?
【エコノミークラス症候群とは!?】
・ 静脈血栓塞栓症…じょうみゃくけっせんそくせんしょう…Venous thrombosis; VTEともいう
・肺血栓塞栓症…英語: Pulmonary embolism; PEと深部静脈血栓症…英語: Deep vein thrombosis; DVTを併せた疾患概念である
・下肢や上腕その他の静脈(大腿静脈など)において血栓(凝固した血のかたまり)が生じ、静脈での狭窄・閉塞・炎症が生ずる疾患
・しばし無症状性であることが多い
・飛行機内などで、長時間同じ姿勢を取り続けて発症することがよく知られている
・この呼称はエコノミークラス利用者に限定し発生する疾患との誤解を与える事から、欧米での呼称を訳した呼称の旅行者血栓症も提言されているが、バスなどでの発生はまれだとしてロングフライト血栓症も用いられている
・VTEは入院患者の主な死因の一つである
・脂肪、腫瘍、羊水、空気、造影剤、寄生虫、異物など血栓以外が原因となる事もあるが、多くの場合、血栓の全部または一部が、血流に乗って下大静脈・右心房・右心室を経由し、肺へ流れつき、肺動脈が詰まると肺塞栓症となる
・肺動脈が詰まるとその先の肺胞には血液が流れず、ガス交換ができなくなる
・その結果、換気血流不均衡が生じ動脈血中の酸素分圧が急激に低下、呼吸困難と脈拍数の上昇が起きる。典型的な症状は息苦しさや息を吸うときの鋭い痛みで、失神、ショックが起きる事もあり、時に死亡する
【症状】
・しばし無症状性である
・深部に血栓ができた場合は下肢の腫れ(47%)、下肢痛(26%)、下肢の色調変化(7%)で血栓より遠位の浮腫などといった症状がでるが無症状のこともある
・特に下肢静脈血栓は左に起きやすい
・これは左の総腸骨静脈と右の総腸骨動脈が交差しているため、後者によって前者が圧迫されやすいためである
・体の深部静脈に血栓ができた場合はその静脈と周囲の皮膚に炎症を起こし、血栓性静脈炎を引き起こすことがある
・血栓が飛んで肺塞栓を引き起こすと呼吸困難(73%)、胸痛(42%)、冷や汗(24%)、失神(22%)、動悸(21%)、せき(咳)(11%)、血痰(5%)等の症状が起きる
・また、静脈怒脹、血圧低下、意識消失なども生じ、急激かつ広範囲に肺塞栓を生じた場合は心肺停止となり、突然死する
【原因】
・静脈血の鬱滞(うったい)や血液凝固の亢進が最大の原因となる
・血流うっ滞(血液の流れが滞ること)の原因としては長時間同じ姿勢で居続けることやうっ血(うっけつ)性心不全、下肢静脈瘤の存在が挙げられる
・血液凝固の亢進(血が固まりやすくなること)は様々な病態において生じるが、例えば脱水、がん、手術後の長時間臥床、拘束衣による身体拘束、エストロゲン製剤の使用などが挙げられる
・先天性素因としてはプロテインC欠損症、プロテインS欠損症、アンチトロンビンIII欠損症などがある
・後天的な血栓性素因としては、ループス・エリテマトーデスを含む抗リン脂質抗体症候群、ベーチェット病などを含む血管炎症候群などが原因となる
・欧米では、凝固系第V因子の変異(factor V Leiden)がみかけられるが、日本では見つかっていない
・特に湿度が20%以下になって乾燥している飛行機、とりわけ座席の狭いエコノミークラスで発病する確率が高いと思われているため、エコノミークラス症候群と呼ばれるが、ファーストクラスやビジネスクラス、さらに列車やバスなどでも発生の可能性はある。タクシー運転手や長距離トラック運転手の発症も報告されている
・長時間同じ体勢でいることが原因である
【予防】
・静脈血栓塞栓症は突然死をきたす重篤な疾患である。そのため発症する前に予防することが非常に重要である
・一般的に推奨されている予防法を示す
・長時間にわたって同じ姿勢を取らない。時々下肢を動かす
・飛行機内では、着席中に足を少しでも動かしたりすることなどが推奨されている(乱気流により負傷する事故もあることから、飛行中にむやみに席を立って歩いたりすることは行わないほうが良い
・航空会社によっては、座席でできる簡便な下肢の運動法を記したパンフレットが各座席に備え付けられている場合もある)
・麻痺や療養のため長期臥床を余儀なくされる場合、長時間の手術を行う場合は弾性ストッキングや空気式圧迫装置を用いて血液のうっ滞を防ぐ必要がある
・特に弾性ストッキングはリスクのある例全てに行なわれるべきである
・長期臥床への利用は、外科手術後は抑制・予防効果が認められるが、脳卒中後の深部静脈血栓症には効果がないと報告されている
・脱水を起こさないよう、適量の水分を取る
・飛行機内では客室乗務員を呼び出して、適宜水を持ってきてもらう
・ビールなどのアルコール飲料や緑茶・紅茶・コーヒーなどカフェインを含む飲み物は利尿作用があり、かえって脱水を引き起こす恐れがあるため、水分補給には適していない
・アスピリンやその他抗血小板薬は、VTEの予防として十分ではない
・ハイリスク患者、たとえば下肢静脈に血栓が存在する場合には、肺に血栓が飛ぶのを防ぐために下大静脈フィルターの留置が検討される
・災害時の避難所においては、畳かマットを敷いた雑魚寝よりも簡易ベッドを用いると、深部静脈血栓陽性率の低下が可能である
・日本では、2004年(平成16年)に肺血栓塞栓予防管理料が診療報酬に収載された
・日本では初めての「予防」の保険適応である
・日本旅行医学会は、地震の際の『マスメディア一部の報道の中には、具体的な予防策はほとんど報道されず、間違った情報も含まれている』と指摘してる