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大人と摂食障害とは!?【発達障がい 学習塾】2020/03/21①

㊴大人と摂食障害

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摂食障害とは!?】

・せっしょくしょうがい…英語: Eating disorder→ED

・食行動の重篤な障害を呈する精神障害の一種である

・近年では嚥下障害等の機能的な摂食障害との区別をつけるため、中枢性摂食異常症とも呼ばれる

厚生労働省の難治性疾患(難病)に指定されている

・患者の極端な食事制限や、過度な量の食事の摂取などを伴い、それによって患者の健康に様々な問題が引き起こされる

・主に拒食症と過食症の総称である

・人間関係の問題などの心理的なストレスが原因となる場合が多い

摂食障害は大きく拒食症、過食症に分類される

・拒食と過食は相反するもののように捉えがちだが、拒食症から過食症に移行するケースが約60 - 70%みられたり、「極端なやせ願望」あるいは「肥満恐怖」などが共通し、病気のステージが異なるだけの同一疾患と考えられている

・拒食症、過食症を区別する指標は、基本的には正常下限体重を維持しているかどうかのみである

アメリカ合衆国ではBMIによる標準体重の85%以下が拒食症に分類されているが、日本では80%以下とされている

・一定時間に渡り、食べ物を口に入れ咀嚼し、飲み込まずにビニール袋などに吐き捨てるという行動を繰り返すチューイング(噛み吐き・噛み砕き)と呼ばれる行為も存在する

・一見、拒食とも過食とも取られる行為で、特定不能摂食障害の一部にまとめられる

リストカットなどの自傷行為を行う患者では高確率で拒食・過食などの摂食障害の合併がみられ、摂食障害患者の59 - 76%に自傷行為、アルコールや薬物の乱用、重篤な爪噛み、抜け毛といった行為がみられ、摂食障害自傷行為、薬物依存は密接な関係があるとされる

・衝動性の高いパーソナリティや、自罰・禁欲嗜好のパーソナリティなど、特定のパーソナリティ傾向にのみ限局しない所見である

・なお、摂食障害の患者は強迫的な性格傾向が強いとされる

・拒食症・過食症ともに、嘔吐を伴う患者は例外なく強迫性性格である

・ローゼンバーグは摂食障害を「現代的な強迫神経症」と称している

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【症状】

・拒食症、過食症などのタイプによっても異なり、また同じ拒食症・過食症などでも、患者によって症状は多様である

・拒食症では極端な食物制限が中核となる

・食事を食べているところを他人に見られたがらない場合も多い

・その他、体重を減らそうとして運動をするなどの過活動がみられることもある

・拒食によって体重低下が進んだ結果、異常な低体重となり、女性の場合は月経が停止する事もある

・この時期でも本人はいたって元気な様子を見せ、病識が無い場合が多い

摂食障害の存在を周囲に隠したいため、人前では食品を食べてみせ、直後にトイレに行き、食べたものを全て吐くといった行動をとる患者もいる

・自分の思う通りにならない自分を、摂食行動において完璧にコントロールし、痩せを維持できることは、万能感・高揚感を与えてくれる体験である

・食事をコントロールし、自らの体を過度にコントロールしようとする心性の背後には慢性的な不安が控えており、摂食障害者は一様に強迫的な性格傾向を有する

・摂食行動以外にも、抑うつ症状や気分の変動、リストカットなどの自傷行為・アルコール乱用、社交不安障害や強迫性障害などの不安障害、PTSD、パーソナリティ障害による精神症状を合併することも多い

・学生の場合、拒食から過食に転じると不登校や休学の原因になることがある。抑うつは大概日内変動を伴い、食行動と密接に関わっている

・拒食症の無茶喰い・排出型や過食症などでは、短時間に多量の食べ物を摂取する過食行為がみられる

・自己誘発嘔吐や下剤乱用などの行為を伴うことも多い

・自己誘発嘔吐によって、咽頭に爪による潰瘍を生じたり、利き手の指や手の甲に胼胝(タコ)ができたり(いわゆる“吐きダコ”)することもある

・嘔吐や下剤乱用による電解質代謝異常、脱水、マロリー・ワイス症候群などの消化管の損傷や、痩せや栄養失調による感染症や貧血および脂肪肝、低蛋白血症によるむくみ(一見痩せていないように見える)、骨粗鬆症等、過食による肥満や糖尿病、胃拡張などの内科的疾患を併発することもある

・拒食状態ではエネルギーとなる糖が少なく、低血糖に陥る

・その結果脳の活動が阻害され意識障害が起こる

・極端な低血糖が持続した場合、脳萎縮など脳細胞に回復不可能な障害が引き起こされる。嘔吐や毎日の下剤の使用により、電解質カリウム、ナトリウム、クロールなど)の低下が起こり、心機能の低下や全身の脱力感、痺れ(テタニー)を生じる。低カリウムの状態では心不全に陥り、心臓が停止することもあり危険である

・血中のコレステロールは高く、血圧は低い。手足の末端は冷たくなり、脱毛、皮膚の乾燥、背中にうぶ毛が生えることもある

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【原因】

摂食障害の病因についてこれまで様々な仮説が唱えられてきた

・肥満蔑視・やせに価値があるという社会文化的要因、成熟拒否や自己同一性獲得の失敗等の心理的要因、脳機能の異常に原因を求める生物学的要因等である

・現代においてはそれらが相互に複雑に関連し合って発症に至ると考えられている

◎社会文化的要因

・「痩せ」を賞賛する社会風潮も、摂食障害が増えている一要因である

・日本の女子高校生を対象にした調査では、全体の約9割が 「今より痩せていなくてはならない」と答え、痩せているほうがより良いとする社会風潮の影響を受けていることがわかった

・事実、2010年代の成人女性の1日の摂取カロリーの平均は戦時中、または戦後直後の摂取カロリーの平均よりも低く、食べ物に不自由せず栄養価の高い食事が充分に可能な現代でも栄養失調気味の傾向にある

・世界的には、2005年に拒食症で死去したモデルのアナ・カロリナ・レストンの事件を境に、“痩せ過ぎモデル”が与える社会影響などの議論が各国で加熱した

・4か国代表会議に参加したスペイン・イタリアは「痩せ=美しい」という誤った美の観念を与える危険性があると、一定のBMI値に満たないモデルのランウェイ出場を禁止。大手アパレルメーカーも政府のガイドラインに従う意向を表明した

アメリカファッション協議会は、「拒食症をはじめとする複雑な摂食障害はファッション業界のみの責任ではない

・キャンペーンで摂食障害の認知と意識向上に協力することはできる」と述べた

・患者本人の会、親の会など各都道府県に独自の自助グループが多数存在する

・体重制限が求められる女性スポーツ選手が発症する例もあり、2017年に発覚した元陸上競技選手のケースでは現役時代の体重制限が発症の原因と報じられ、引退後にクレプトマニアによる不祥事につながったのではないかとする見解もある

心理的要因

摂食障害になる心理学的背景として以下のような説がある

・親との不良な関係、2 - 5歳児期の人格基礎形成期に欲求5段階の安全安心の欲求、愛情や所属の欲求が満たされず、間脳視床下部食欲中枢に障害が起きているという説

・この説では「8割の要因が母親」と言われている

〇対人関係の恐怖からの代償行動説

〇「女性性の拒否」による代償行動説

〇肥満への恐怖からのダイエット・ハイ説

〇ストレス説(結婚生活のストレスや複雑人間関係、深いトラウマ含む)

〇遺伝説

◎生物学的要因

摂食障害をもつ患者は、脳のセロトニンドーパミンオピオイド(鎮痛系)に障害があるという研究がある

・投薬の副作用(食欲増進、または食欲減退)により、本人の意思とは全く関係なく摂食障害を起こす事もある

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【治療】

・拒食と過食は周期的に繰り返される場合が多く、心療内科医・精神科医など医師や心理カウンセラーの心理的なカウンセリングを受けることが有効である

・専門性の高い医師は多くはないのが現状である

・拒食や過食の食行動異常が注目されやすいが、たとえ体重が適性値に戻っても、その背景にある心の問題が解決されないと再び摂食障害に陥ってしまうことがある

・本人が食べ物の扱いを判断出来なくなっているため、背景の問題解決には周囲の協力が必要である。特に家族ガイダンスは有効である

◎精神療法

・精神療法としては、力動的精神療法、行動療法、認知療法対人関係療法、家族療法などがある。栄養リハビリテーションも必要である

・2004年の英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでは、拒食症では、認知分析療法、認知行動療法対人関係療法摂食障害に焦点を当てた精神力動的療法や家族への介入が挙げられている

過食症に対しては、証拠に基づいたセルフヘルプの過食症に対する認知行動療法が推奨され、それに反応しなかった場合に同等の効果があるが8〜12ヶ月を要する、対人関係療法を推奨している

・2014年の最近の証拠の調査では、認知行動療法対人関係療法とが、神経性過食症過食症の確立された治療法であると結論している

認知行動療法

摂食障害に有効な治療法として認知行動療法があり、ランダム化比較試験にてその有効性が実証されてきた

・大まかな流れとしては、患者個人の状況に合った認知行動療法的なモデルの作成とともに治療を始め、認知と行動の両側面から症状の回復を妨げているもの(拒食・過食の原因)に取り組んでいく

・その中で、個々の症例に対応するため、治療者が工夫を凝らしていく必要がある

・たとえば、認知への働きかけとして、体型や体重へのとらわれがなくなるよう支援(他者は体型や体重で人を評価しないという事実を知ってもらうために他者との会話の場を設けるといったサポートなど)をしたり、治療者と患者が協同で体型や体重以外の側面に着目して患者自身の自己評価を高めたり、体重や食事の量をコントロールする際に完璧を求めなくても良いという認知を形成できるようサポートしたりすることがある

・行動への働きかけとして、規則正しい食事をしたり、過食をしたいときに別の行動をとることによって過食の頻度を減らしたり、ストレスに対して摂食行動以外の方法で対処したり、食事と食事の間に何か楽しいことをしたりすることをサポートする場合がある

認知行動療法の一環として、望ましい摂食行動や気の持ち方を伝える心理教育、話し合いに基づいて協同的に食事計画を作成すること、拒食や過食をしなくても恐れていることは起こらないという認知の形成をサポートする認知再構成法、3つのコラムのワークシートを用いて

①否定的な思考

②不快な感情

③拒食や過食との関連性

・それらを明らかにし否定的な思考や不快な感情に対処することをサポートするセルフモニタリング、経験豊富な栄養士による栄養カウンセリングなどが行われる場合もある

薬物療法

・2004年の英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでは、摂食障害では薬物療法のみにしたり、一次選択を薬物療法とすべきではなく、並存するうつや強迫症状に対して考慮されるべきであるとされている

摂食障害は心の病理を有する障害であり、薬物療法の効果は限局的であることから補助療法として用いられる

・2012年の日本の日本摂食障害学会による診療ガイドラインにおいて、信頼性の高い根拠としてSSRIによる8週間のデータしかないため不十分であり、薬物療法は補助治療であると考えられる

・2012年には『摂食障害国際ジャーナル』誌(International Journal of Eating Disorders)において、いかなる薬物治療の利益も示されていないが半数以上が投薬されていることを報告している

・拒食症患者の場合、SSRI の投与では体重が減少してしまうことがある

・一方過食症患者に気分安定薬を用いる場合、リチウム(リーマス)、バルプロ酸ナトリウムデパケン)は体重を増やす恐れがあるので注意が必要である

 

 

 

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